日本初の宇宙機による月着陸へ、小型実証機「スリム」のミッション
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、日本初の宇宙機による月着陸を目指す小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が2024年1月20日にも月に到着すると発表した。当初24年1―2月ごろに月へ着陸するとしていたが、運用が順調であるため、1月中に実現する。このタイミングで着陸できなかった場合は2月16日ごろに変更する。月面着陸に成功すれば、旧ソ連や米国、中国、インドに続いて世界で5カ国目となる。
5日開かれた記者会見でJAXAの坂井真一郎スリムプロジェクトマネージャは「スリムは20年近い計画や研究が進められて実現した。ミッション成功に向けて着実に運用したい」と意気込みを語った。スリムは25日に月周回軌道に投入され、12月下旬―24年1月中旬にかけて軌道を修正する。24年1月20日0時から着陸に向けてスリムを降下し、約20分間かけて月面への着陸を目指す。
スリムのミッションは月面の「降り立ちたい場所」に降りられる高精度着陸技術の実証。従来機の月着陸精度は数キロメートル―十数キロメートルだったが、スリムは100メートルオーダーで制御できる技術を取り入れている。月は重力を持つ天体であるため宇宙機が降り立つのは難しく、これまでに着陸に失敗した例は多い。同技術が実証できれば、将来の月・惑星探査に応用できると期待される。
日刊工業新聞 2023年12月06日