搬送速度3倍、NTNが業界最速「部品供給装置」を開発
NTNは部品の搬送最高速度が毎分18メートルと業界従来比約3倍で最速の直進フィーダーを開発した。水平と垂直の方向に交差する板バネなどが生み出す振動で高速搬送する。従来フィーダーは他社製も含め本体の同速度が約6メートルで、速度を上げるため空圧装置で空気を吹き付けている。開発したフィーダーは生産性を高めるほか、空圧が少なくて済みエネルギー消費量も低減できる。2024年春に発売し、26年度に1億5000万円の売り上げを目指す。
直進フィーダーは電磁石と板バネの力が生み出す振動で部品を直進させる。部品供給装置(パーツフィーダー)の一部を構成し、部品を次の工程に送り出す。
開発したフィーダーは交差する板バネの複合的な働きで、高い振幅と高周波数の振動を発生する。部品は従来フィーダーより高速で直進するほか、振動のバラつきで起きる部品の停留や逆流を打ち消す機構も備えた。
これらにより、従来フィーダーよりも空気の吹きつけが少なくて済み、空気量は部品によっては従来比5分の1に減らすことができる。吹き付けがまったく不要な場合もあるという。稼働音も自社の従来の67デシベルから56デシベルに抑えた。
パーツフィーダーを使う自動車や樹脂関連などのメーカーでは、人手不足への対応や生産性向上ニーズが強く、省エネルギーニーズも高まっている。
NTNは制御機器のコントローラーも含めたパーツフィーダー市場で、国内シェアが推定約30%でトップクラス。高速化と省エネルギー化で競争力を強め、パーツフィーダーの販売を伸ばす。
開発した直進フィーダーは付加価値が高まることから、価格を従来の同フィーダーに比べ約2・5倍引き上げる検討をしている。主力の自動車や樹脂関連のほか、食品や医薬関連の顧客も開拓する。
日刊工業新聞 2023年11月24日