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耐荷重・寿命 “最高水準”、NTNが開発した「転がり軸受」がすごい

耐荷重・寿命 “最高水準”、NTNが開発した「転がり軸受」がすごい

玉と玉の間に分割型保持器を採用したIMT軸受

NTNは電動射出成形機用に耐荷重と寿命が業界最高水準のボールネジ支持転がり軸受「IMT軸受」を開発した。ころの玉を支える保持器を分割し、軸受の内部空間が広くなることで玉を大きくでき、許容回転速度も高めた。空間が広いため潤滑油も増量が可能になる。医療・食品のクリーンルームなど、衛生管理の必要な製造でも導入が増えている電動射出成形機用のニーズをつかむ。2028年度に1億円の販売を目指す。

IMT軸受は電動射出成形機用に業界で初めて、リング状の一体型保持器でなく、複数の分割型保持器を採用した。これにより保持器の幅を小さくでき、内部空間は自社従来軸受比30%増加。大きな玉を入れられるため耐荷重や寿命、許容回転速度が向上する。負荷能力を示すアキシアル基本動定格荷重は同20%、定格寿命は同70%、許容回転速度が同80%高まる。内部空間の増加で潤滑油の封入量も増やせる。

内部空間にゆとりがあるので、軸受を大きくせずに片方の側面へシールも追加でき、潤滑油の飛散を防げる。

樹脂製品を作る射出成形機はボールネジとサーボモーターで駆動する電動式が、省エネルギーや環境負荷低減の面で優位性があるため、油圧式からの置き換えが進んでいる。軸受はボールネジを支持する箇所に複数取り付けられる。IMT軸受に替えることで、製造時間の短縮や保守のコスト低減も見込めるとしている。

射出成形機の電動化は国内で進み、中国や欧州でも需要拡大が予想される。すでにサンプル出荷と顧客の技術評価を始めた。国内外でIMT軸受の需要を開拓する。


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日刊工業新聞 2023年月6月13日

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