ジェイテクト「介護製品」芽吹く…車部品・工作機械で培った要素技術生かす
ジェイテクトが新規事業の介護製品で成果を出し始めている。介護用パワーアシストスーツ「J―PAS(ジェイ・パス)フレアリー」はこれまで100以上の施設に導入。介助用車いすの電動アシストユニット「軽e(かるいー)」は4月に量産を開始し、販売を拡大している。数年後の黒字化を目指し、ユーザーの需要に合致する製品開発・サービス展開を進める。
ジェイテクトは2021年に発売したJ―PASフレアリーを皮切りに介護製品に参入した。自動車部品や工作機械で培った要素技術をかけ合わせ、ユーザーの声を反映した製品を展開する。介護製品分野は競合も多いが「ステアリングで培った制御技術をはじめ、違和感のない動きを実現する『人との調和』が当社の強み」(尾崎光晴アクティブ・ライフ事業部部長)として他社と差別化を図る。
産業用パワーアシストスーツを応用し、介護用専門に開発したJ―PASフレアリーは、起床介助や就寝介助など、介護職の離職の原因にもなっている中腰作業の負担を軽減する。約20秒で着脱可能で重量は2キログラムと軽量化を図っていることが評価され、採用する介護施設が増えている。
軽eは車いすメーカーの日進医療器(愛知県北名古屋市)と協業して開発し、同社の車いす「ウルトラシリーズNAH―U2W」に搭載している。国土交通省の調査によると30年には高齢者世帯の割合が27%となり、「老老介護」家庭が増加するとみられ、負担軽減は喫緊の課題だ。
自動車部品製造のモーターアシスト技術や制御開発技術を生かし、車いすのグリップの押し引きを検知し電動モーターで操作を適切にアシストする。上り坂では楽に押すことができ、下り坂はブレーキがかかり安全に下れる。室内、室外問わず、さまざまなシーンで使用できるという。
ジェイテクトは過疎地の物流を支える飛行ロボット(ドローン)技術や、食料不足に備えた食用コオロギの自動飼育システムなど、社会課題に応える新規事業を育成する。同社事業開発領域の安藤淳二領域長は「当社は要素技術の多さが特徴。これらを生かし社会のニーズに合致した開発ができる」と説明。新たな柱の一つとして介護製品に期待をかける。
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