ニュースイッチ

デンソー・アイシン・豊田織機も過去最高、業績好調のトヨタ系主要部品メーカーに懸念材料はないか

トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社の業績が好調だ。デンソーなど6社は31日、2024年3月期連結業績予想の売上高と各利益段階を上方修正した。愛知製鋼は非自動車分野が伸び悩み売上高を下方修正したが、各利益段階は製品価格の引き上げなどにより上方修正した。主要顧客であるトヨタの生産が国内外で順調なほか為替の円安効果、体質改善策が奏功し収益を押し上げる。

各社の上方修正の背景にあるのは、自動車メーカーの生産増への期待だ。アイシンの伊藤慎太郎副社長は「顧客の見通しは総じて高い」とし、トヨタ紡織の白柳正義社長も「増産基調が続く」とみる。デンソーは自動車メーカーの生産計画に対し年間で10%減程度と堅く見積もっていたが「第3四半期(23年10―12月期)は下げ幅を縮小する」(松井靖副社長)。

一方で不透明感が増すのが中国市場。景気の減速や現地メーカー製電気自動車(EV)の急速な普及が、日系メーカーとの取引が多い各社の収益にマイナス影響を与えそうだ。豊田合成の齋藤克巳社長は「日系メーカーの数量が下振れしている」と明かす。ジェイテクトの神谷和幸最高財務責任者(CFO)は日系のブランド価値の低下を危惧する。

ただ、電動化については関連製品の拡販が業績に寄与する企業も増えている。デンソーの松井副社長は「電動化や安全・安心、自動運転領域の製品の販売が進んでいる」と説明。豊田自動織機の高木博康執行職も「我々の製品で顧客の競争力を高める」と話す。

23年4―9月期決算は全社が増収増益。愛知製鋼とジェイテクトを除く5社は売上高と各利益段階で4―9月期としての過去最高を更新した。原材料やエネルギーの高騰が各社の業績を押し下げる要因になっているが「(影響は)一巡しつつある」(伊藤アイシン副社長)との指摘もある。


【関連記事】 トヨタグループも頼りにする異能の変革集団
日刊工業新聞 2023年11月01日

編集部のおすすめ