オムロンが投入、パワー半導体・先端半導体向けCT型検査装置の性能
オムロンは半導体検査向けにCT(コンピューター断層撮影)型X線自動検査装置を2024年2月から順次投入する。従来は主に基板検査向けに製品展開していたが、構造の複雑化が進む半導体でもCTを使った3次元(3D)画像撮影による高速検査のニーズが高まっている。パワー半導体向けを24年2月に、先端半導体向けを24年春にそれぞれ発売し、半導体や電気自動車(EV)部品など新領域での拡販を狙う。装置価格は各数億円。2機種で初年度に数十億円の売り上げを目指す。
オムロンのCT型X線自動検査装置は、透過型の2次元(2D)方式では困難な複層化している対象物の検査を得意とし、ハンダ内の気泡などを鮮明に確認できる。複数の半導体を組み合わせて構成するチップレットや、チップを複数枚積み上げる3D実装などは、ハンダの接合状態を外観検査するのが難しい。加えて接合箇所の増加で検査箇所が増え、検査の高速化が求められている。
パワー半導体向けの「VT―X850」はX線出力を従来機種比約2倍に高め、複雑構造の対象物でも鮮明に検査できる。搬送重量も同約10倍の40キログラムまで対応し、重量物の検査にも対応する。IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)だけでなく、モーターやインバーター、ギアを一体化したEV駆動装置「イーアクスル」などの検査も想定し、対象物の大きさ別に3タイプを展開する。
先端半導体向け機種の「VT―X950」は、従来のハイエンド機種で0・3マイクロメートルだった分解能を0・2マイクロメートルに高め、より高い解像度の画像撮影を実現した。1カ所当たりの検査時間も30秒に半減。最先端半導体の検査に対応できる。
2機種とも一筆書きのように360度旋回しながら撮影でき、撮影ごとに停止する従来製品と比べて高速化した。
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