半導体・EV・蓄電池…国内投資減税、5品目を対象に
経産省が中長期で支援
政府が創設を表明している、重要物資の国内生産投資を促す減税制度について、経済産業省の要望案の詳細が14日、分かった。半導体や電気自動車(EV)・蓄電池など、計5品目を対象とするほか、生産開始後10年間の措置期間などを求める。世界では欧米や中国などが大規模な予算を投じ自国有利となる優遇税制を打ち出している。日本も生産コストの高い戦略物資で同様の措置を講じ、市場創出や投資促進につなげる。
検討を進めるのは「戦略分野国内生産促進税制」。経済成長や経済安全保障の観点で重要なものの、総事業費が大きく生産コストがかさむため参入しづらい分野について減税措置を講じ、投資しやすくすることを狙う。
要望案ではほかに、製造時に温室効果ガス(GHG)を排出しない鉄鋼材の「グリーンスチール」、植物など再生可能資源やその副産物で作る化学製品の「グリーンケミカル」、持続可能な航空燃料(SAF)を対象として盛り込んだ。
今後3年間に投資判断された計画を対象とし、投資予見性を高めるためにも生産開始後10年間の措置期間が必要だとした。当該年度の法人税額の、少なくとも50%まで控除可能とすることを求めた。また事業環境を踏まえて対象品目ごとに税額控除を設定し、生産量に応じて減税する方式の採用も盛り込んだ。
今後は与党税制調査会での審議を経て、12月にまとめる税制改正大綱に向け詳細を詰める方針だ。政府は初期投資に加え中長期の生産投資も支援を拡充し、国際競争力につなげたい考えだ。
日刊工業新聞 2023年11月15日