操作員を半減…三菱製鋼が分塊圧延機を全自動化へ
三菱製鋼はITや人工知能(AI)を活用し、特殊鋼やバネ、金属粉末成形など高温操業の現場で省人化を推進する。年1億円弱を投じ、2024年度には鋼材部門の分塊圧延機で操作員を半減する。複数のスイッチやレバーがあり複雑な機械操作をUSBコントローラーに一元化。ロール圧下操作は自動化し、熟練工の手動操作によるバラつきを低減してミスを防ぐ。操作などにかかわる各種データは蓄積し、将来は全自動運転を目指す。
三菱製鋼は製造現場などのIT化を、22年度に社内に立ち上げた「業務効率化のためのDXファンド(資金)」で実施する。各部門から提案された緊急性がありユニークで、業務改善に有用な複数案件に総額年2億円程度(設備投資額の5%以上相当)から資金を割り振って対応する。
鋼材部門の分塊圧延工程の省人化は、その中心的取り組みだ。鋼塊を加熱し、分塊圧延機を介して最終製品に応じた素材形状に整える。まず鋼材部門子会社、三菱製鋼室蘭特殊鋼(北海道室蘭市)の圧延工場で展開する。
分塊圧延機は複数の操作員の手動によるため、熟練度の差などが存在する。計5種類のレバーやスイッチがあるが、操作が複雑で習得するまでに時間を要しているのが実情だ。
ファンドの活用でレバーやスイッチの操作を汎用コントローラーに一本化することで操作が統合されるほか、操作データなどの収集が可能となる。データは作業しながら随時蓄積されるため、機械学習などを通じ操作の全自動化を可能にする。
現在は試行段階だが、24年度には操作員を半減する。さらにバネ部門や素形材部門、インドネシアの電炉子会社JATIMの現場へと横展開していく考えだ。
日刊工業新聞 2023年10月31日