住友ゴム工業は南アフリカのタイヤ工場（クワズール・ナタール州）に１７億ランド（約１３４億円）を投じて設備を刷新する。２０１３年にインド・アポロタイヤの南アフリカ現地法人を買収して以来、使い続けている老朽設備を更新し、２５年から順次稼働する予定だ。タイヤの供給先である完成車メーカーでは厳格化する排ガス規制への対応が課題になっている。新しい設備で、転がり抵抗が低く燃費性能向上に寄与する高品質タイヤを作りやすくし、完成車メーカーへの提案力を強める。

設備投資では混練機のほか、タイヤの接地部（トレッド）や側面（サイドウォール）の生産設備を刷新する。生産性や品質を改善し生産能力向上につなげる。設備稼働時の消費電力削減など省エネルギー効果も見込む。太陽光発電システムも増設。工場全体の廃棄物の約６０％削減など環境負荷を低減する。

南アフリカ工場は１９７３年に稼働を開始した。住友ゴム工業による買収後は「ダンロップ」や「ファルケン」ブランドなどの乗用車用タイヤのほか、１８年からトラック・バス用タイヤを生産している。２２年１２月末時点のタイヤ生産能力は新ゴム消費量換算で月１７００トン。トヨタ自動車や日産自動車、いすゞ自動車などの日系自動車メーカーのほか、印タタ・モーターズなどにタイヤを供給している。

南アフリカの自動車製造者協会（ＮＡＡＭＳＡ）によると、２２年の国内新車販売台数は前年比１４・０％増の５２万９５６２台、同生産台数は同１１・４％増の５５万５８８９台だった。２３年は販売で同６・３％増、生産で同１０・６％増とともに増加を見込んでいる。国内生産台数の６―７割は輸出に振り向けられており、仕向先の規制動向を踏まえた生産が求められている中、高品質タイヤの供給で顧客の要望に応える。