日清紡ブレーキが新開発、自動車用ブレーキ摩擦材の特徴
日清紡ブレーキ(東京都中央区、服部恭輝社長)は、2025年に欧州で適用される新環境規制「ユーロ7」に対応した自動車ブレーキ用摩擦材を開発した。環境負荷が低いノンアスベスト(NAO)材の材料や配合方法を見直し、欧州で主流のロースチール材と同等のブレーキ性能を実現した。国内の自動車メーカーなどに提案し、評価を始めている。欧州の環境規制に対応できる点を訴求し、3―4年後の市販車搭載を目指す。
日清紡ブレーキが主力とするNAO材はアスベストや銅を含まず、摩耗粉塵による環境負荷が低いのが特徴。開発した新材料は従来のNAO材を改良し、ユーロ7で提案されている規制値をクリアするめどをつけた。
ブレーキ性能はロースチール材の平均的な製品と同等で、同社NAO材の従来品比2割程度向上した。製品コストは付加価値に応じて従来品より高くなるが、大幅には増えない見通し。ブレーキ性能の向上で課題となるノイズの発生はロースチール材より少ない。 日清紡ブレーキはNAO材で業界トップシェアを持ち、日本の自動車メーカーを中心に日本、米国、中国などで展開している。一方、欧州市場はブレーキ性能に優れるロースチール材が主流で、ユーロ7が新たに規制対象とするブレーキ摩耗粉塵についての対策が課題となる。
日清紡ブレーキ親会社の日清紡ホールディングス(HD)は、11年に買収したTMDフリクショングループが欧州でロースチール材を展開してきたが、23年11月末に同社を独投資ファンドに売却することを決めている。ブレーキ事業の売上高の6割以上を占めるTMDを売却する一方、無線・通信やマイクロデバイス、NAO材にリソースを集中する方針だ。
【関連記事】 苦悩する自動車部品メーカーが頼りにする育成所
日刊工業新聞 2023年09月25日