クボタ供給見直し、廣野鉄工が中国部品生産を国内移管
廣野鉄工所(大阪府岸和田市、廣野幸誠社長)は、クボタ向けのエンジン部品の供給体制を見直す。10数億円を投じて本社工場を増築し、生産設備も刷新。現在、中国で100%生産するロッカーアームを2025年には約30%分を日本の本社工場に移管し、26年に量産を始める。コロナ禍に上海市のロックダウン(都市封鎖)で生産が一時停止したのを教訓に、チャイナリスクを考慮した部品供給体制を確立する。
現在、本社工場の駐車場となっている約3000平方メートルの敷地に平屋の工場棟を新設する。マシニングセンターや数値制御(NC)旋盤などロッカーアームの専用加工機として10数台を導入する。ロッカーアームはシャフトやブラケットなど周辺部品と組み合わせたユニット品で納品する。半年から1年かけて耐久試験を行い、26年以降の量産を目指す。
ロッカーアームはエンジンのバルブを動作させる重要部品。クボタが販売する農業機械やOEM(相手先ブランド生産)供給するエンジン向けに生産する。馬力帯で12の型式のうち、11の型式は廣野鉄工所の製品が使われているという。
廣野鉄工所の中国子会社では22年に上海市で発生したロックダウン時にロッカーアームの生産が一時停止し、2カ月分の在庫が逼迫した。「クボタのエンジンの生産ラインに関わる重要部品だった」(廣野幸一郎取締役)ことから、安定供給の重要性を再認識し、生産体制の再構築を決めた。
廣野鉄工所はクボタ向けのエンジン部品、トランスミッションの精密機械加工を主力とする。22年9月期の売上高は約88億円で過去最高だった。23年9月期も同水準の業績を見込む。
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日刊工業新聞 2023年10月23日