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カナダ・日本間で博士インターン、C-ENGINEがカナダNPOと連携

カナダ・日本間で博士インターン、C-ENGINEがカナダNPOと連携

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産学協働イノベーション人材育成協議会(C―ENGINE、京都市左京区)は2024年4月から、カナダのNPO法人Mitacs(マイタクス)と、両国間の産学共同研究に向けた博士人材の研究インターンシップ(就業体験)を始める。マイタクスの大学・企業情報をC―ENGINEの会員企業・大学とマッチングする。博士課程学生への政府支援やマイタクスの予算を活用して、国際ビジネスマインドに富む高度人材育成を推進する。

C―ENGINEは理系の博士学生らがメーカーで行う2カ月の研究インターンシップなどを支援する一般社団法人。会員である研究大学とメーカーなどをつなぐ。教育(人材育成)が目的だが、就職に結びつく例もある。

マイタクスはカナダ政府の産業振興予算を活用し、大学院生や博士研究員(ポスドク)の研究インターンシップを手がける。約160人のコーディネーターが仲介し、秘密保持契約を結んで国内年1万5000件ほど実施。学生への奨励金は受け入れ企業とマイタクスが半分ずつ(年7500カナダドル=約82万円ずつ)負担する。拠点は同国のブリティッシュコロンビア大学内にある。

受け入れはカナダの大学の研究シーズと日本のC―ENGINE会員企業の関心が合致した案件で、カナダの博士人材を研究室から派遣してもらう形だ。共同研究への発展をにらんで、奨励金を日本企業とマイタクスが半々で負担する。

またカナダの企業のニーズに対し、C―ENGINEの会員大学が博士人材を派遣。カナダ企業からの7500カナダドルと、大学が用意する日本の海外派遣事業予算を合わせて支援する。

カナダの大学は英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)の大学ランキングで、300位以内に10数校が選ばれるなどレベルが高い。臨床医学、医薬品、医療機器の分野が強く、米ファイザーの新型コロナウイルスのワクチンに使われた薬剤送達システム(DDS)もカナダの大学の技術だ。またハード・ソフトの量子コンピューターや電池などのテーマで、スタートアップ(SU)の創出に強みがある。

日刊工業新聞 2023年10月12日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
インターンシップは教育(人材育成)が目的だが、博士人材であれば確かに、共同研究の大学側パートナーとして十分なレベルだ。教育と研究の両方を絡めた形が、関係者にとっては有益だと思った。ただ博士人材支援の資金や知的財産の扱いは、うまくいくのか気になるところだ。両国、別々に展開していた活動を結びつけるのだから、大変だとは思うが、その大変さを乗り越えるだけの魅力ある仕組みに育っていってほしい

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