1600トン吊り全旋回式クレーン搭載、鹿島などが完成させたSEP船の全容
鹿島と五洋建設、寄神建設(神戸市兵庫区)は洋上風力発電の導入拡大を見据え、共同で建造していた自己昇降式作業台船(SEP船)を完成した。最大揚重能力1600トンのクレーンを搭載しており、11月から「北九州響灘洋上ウインドファーム」の建設工事に投入。9・6メガワットの風車25基の基礎工事や、風車の据え付け工事を行う。3社が共同出資する「PKYマリン」が保有・運航する。
このほど完成したSEP船「CP―16001」は、全長123×全幅45メートル。最大で100人が乗船する。1600トン吊りの全旋回式クレーンを備え、風車や基礎構造の大型化に対応。またクレーンのブーム長を130メートル、デッキ上からのフック高さを143メートル確保することで、15メガワットクラス風車の洋上での建設を可能にした。
ゼネコン大手は建設技術を生かす新たな事業領域として、洋上風力発電の建設工事を担うSEP船の導入を進めている。清水建設は自航式のSEP船「ブルーウインド」を2022年に完成。富山県入善町沖、北海道・石狩湾新港に続き、台湾・雲林沖での工事投入が決まっている。大林組も、東亜建設工業と共同建造したSEP船「柏鶴(はっかく)」を4月に完成した。
日刊工業新聞 2023年10月04日