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高専在学・卒業生が一堂に会する「高専人会」設立、慶応「三田会」参考に

新たな人脈形成・人材獲得の場
高専在学・卒業生が一堂に会する「高専人会」設立、慶応「三田会」参考に

高専人会には500人以上が集まった

高等専門学校制度は2022年に創設60周年を迎えた。高専の卒業生と在学生は合わせて約50万人いる。だが全国の高専生が一斉に集まる機会はほぼなく、地域や年齢を超えたつながりは少ない。そこで高専卒の有志が「高専人会」を立ち上げ、設立記念式典と第1回交流会を開いた。東京で開催されたこれらのイベントには各地から500人以上の在学・卒業生が集まった。新たな人脈形成・人材獲得の場になると期待される。(飯田真美子)

記念式典では、国立高等専門学校機構の谷口功理事長が「高専生同士のつながりを深め、高専を次のステップに進めるべく協力してほしい」と述べた。高専は半導体や人工知能(AI)などの先端技術分野の高度化や国際化を促進している。産業界で活躍する高専人が後輩を支援することで、社会が求める技術者の育成につながる。

高専人会は高専生のネットワークを活性化させるだけでなく、卒業生や企業などから寄付を募って現役高専生に支援する仕組みの構築を目指す。海外留学の奨学金や部活動の交通費などの支援制度は高校や大学にはあるが、高専には適用されていない。高専人会の渋谷修太代表理事(フラー創業者兼会長)は「海外の寄付文化を参考にした。卒業生が在学生を応援する意味でも支援していきたい」と意気込む。

高専人会の記念式典で祝辞を述べる高専機構の谷口功理事長

交流会にはセブン銀行やアルプス技研、さくらインターネットなどが協賛し、ブースを設けて現役高専生と話す場も見られた。セブン銀行の松橋正明社長は「社会は多くの科学技術で成り立っており、そこには高専生の力が必要」と強調する。

今回は10―20代の若い高専人の参加が多かった。地方から来た現役高専生は「東京に行くのは資金的に厳しく、深夜バスで来た。多くの高専人と交流でき、来たかいがあった」と笑顔を見せた。学生の参加が多いこともあり、今後は人材獲得の場にもなりそうだ。次回は24年10月に沖縄県で開催する。

全国の同窓集い一大ネット/高専人会代表理事(フラー創業者兼会長)・渋谷修太氏

―高専人会を設立したきっかけは。
 「各高専は同窓会組織を持っているが、高齢化で敷居が高くなってしまい若手が参加しづらいのが現状だ。全高専の在学・卒業生が集まる組織もなかった。より多くの高専生がつながれる場所を作りたかった」

高専人会代表理事(フラー創業者兼会長)渋谷 修太氏

慶応義塾大学の同窓会組織「三田会」を参考にしています。
 「高専人会を立ち上げるに当たり、三田会からアドバイスをもらっている。全国の高専では1年に約1万人が卒業する。卒業後も全高専生がつながれば大規模ネットワークを作れる。海外にいる卒業生も多いため、三田会のように国内外の高専生同士が助け合える関係を作りたい」

―設立イベントには500人以上の高専人が集まりました。
 「ウェブサイトや会員制交流サイト(SNS)で参加を呼びかけたため、10―20代が多くを占めた。年齢や地域を問わず、多くの交流が生まれてほしい。高専人会の会員は1000人を突破した。次回は1000人以上が参加する大規模イベントにしたい」

日刊工業新聞 2023年10月05日
飯田真美子
飯田真美子 iidamamiko
高専人会の第1回交流会に、ひとりの高専人として参加してきました。とにかく10代・20代の高専人が多く30代の私はちょっと浮くかなと心配していましたが、若い人たちとも話が弾みました。高専出身同士はすぐに仲良くなると言いますが、本当にその通りだなと思いました。在学生の参加者も多かったので、企業目線でみると人材獲得の場にもなると感じました。

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