日本酒のおいしさを音楽で引き出す!、オンキヨーと月桂冠「音楽醸造」の可能性
オンキヨー(大阪市中央区、大朏宗徳社長)と月桂冠(京都市伏見区、大倉治彦社長)は3日、特定の音波によって日本酒の発酵成分が増減することを確認したと発表した。音楽によって日本酒から狙った香味を引き出す「音楽醸造」の可能性が示されたとしている。月桂冠は今回の結果を踏まえて、よりおいしい酒の開発につなげる。
実験ではオンキヨーが開発した音波を振動に変換できる加振器を活用。加振器を日本酒醸造タンク(写真)に装着し、発酵期間である約20日間、音波を当てながら日本酒を醸造した。その結果、特定の音波を当てると吟醸酒の主要な香気を構成するバナナのような香りの「酢酸イソアミル」とリンゴのような香りの「カプロン酸エチル」の生成濃度が増えた。
周波数922ヘルツの音波を当てるとカプロン酸エチルが、2119ヘルツの音波を当てると酢酸イソアミルが、音波を当てなかった場合と比べてそれぞれ約1・2倍となった。糖や有機酸の量も加振条件下の醸造により若干の変化を確認した。
日刊工業新聞 2023年10月04日