自動車ボディ「明るい中間色に」…独BASFが予測したトレンドとは?
独BASFは自動車ボディーの色に関する2023―24年の流行予測を公表した。人工知能(AI)などによる世界の大きな変化、電気自動車(EV)シフトや自動運転技術の進展といった自動車の変革期を反映し、自動車向けの伝統的な色彩から大きく変化するとみる。ミリ波レーダー関連や環境面など塗料に関する技術的な対応を含め、自動車メーカーへの提案を進める考えだ。(山岸渉)
「今までにない色調を発表した。新たなテクノロジーが次々出てくる中、過去の延長線上では将来像を描けない」。BASFジャパン(東京都中央区)の前田孝執行役員はこう力を込める。
BASFではトレンド予測のコレクションのテーマを造語で「ON VOLUDE」(漸進)とした。AIなどが身近になり、新たな世界が開ける未来を想定。EVや自動運転といった変化を含め、自動車のカラーも明るい中間色といった新たな色合いや触感がトレンドとみている。
トレンドは地域によって異なる。米州でのキーカラー「ゼノメノン」は構造色で手がけ、ソリッド調のカラーを意識して表現する。太陽光反射によって車体が熱くならない工夫も施す。
アジア太平洋ではパステル調の淡い色で親しみやすさを残しつつ、拡張現実(AR)のイメージを融合させたライトグリーンを紹介。また欧州や中東、アフリカでは明るいベージュに注目する。
BASFはグローバルで地域別に自動車カラーのデザイナーをそろえる。世の中の動向や変化などを捉え、色のトレンド予測や提案に落とし込める。
またその色の提案を実現できる技術面での工夫も強みだ。その一つがEV向けの塗料。自動車のボディー表面で効率的に太陽光を反射することで車室内の温度上昇を抑えられる。エアコンなどで使う電力を減らし、EVの航続距離の延長に寄与できるとみる。
また使用済みタイヤからカーボンブラックを取り出し、塗料として使うなど環境面の取り組みも進めている。自動運転への対応では、レーダーや高機能センサー「LiDAR(ライダー)」が反応しやすい塗料も提案している。
今後、それぞれの色について自動車メーカーへの提案を本格化する。トレンドを予測しつつ提案できるデザイン力と次世代自動車に対応する技術力の兼備が、変革期の波に直面する中でも販売戦略の大きな力となりそうだ。
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