世界初の実証実験で実現。送電損失を95%以上削減する「超電導ケーブル」のすごさ
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と昭和電線ホールディングス(HD)傘下の昭和電線ケーブルシステム(川崎市川崎区)、BASFジャパン(東京都中央区)の3者は、超電導ケーブルの使用により送電損失を従来比で95%以上削減できたと発表した。二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果も確認した。石油・製鉄や化学など大規模電力を使う工場での採用につなげる。
昭和電線ケーブルシステムの三相同軸型超電導ケーブルをBASFジャパンの戸塚工場(横浜市戸塚区)に導入し、約1年間使用した。システムの信頼性・安全性を実証したほか、通常のケーブル(CVケーブル)からの置き換えで電力損失量を大幅に削減できるめどが立った。
NEDOによると民間プラントでの超電導ケーブルの実証実験は世界初という。
金属を導体に使う電線は電気抵抗による発熱で送電損失が起きる。電気抵抗をゼロにできる超電導体を使った送電ケーブルで省エネルギー効果が期待されている。6日の会見で昭和電線HDの長谷川隆代社長は「今回の技術で脱炭素社会に貢献できる。今後改良した上で、2026年度をめどに事業化したい」と話した。
日刊工業新聞2021年12月7日