「花粉発生量」半減に貢献、東京農業大がスギの雄花枯らす薬剤を実用化へ
東京農業大学は26日、栃木県塩谷町でスギの雄花を枯らす薬剤を試験散布した。林野庁の花粉発生源対策推進事業の一環で、今回は薬剤の有用性を確認する詰めの試験。散布から1カ月後に効果を確かめ、実用化に取り組む。
ノズルを搭載した有人ヘリコプターで計6万平方メートルの町有林に試験散布した。使用した薬剤は同大が民間企業と共同開発した農薬「パルカット」と同成分を使用。食品添加物の「トリオレイン酸ソルビタン」を主成分とし、花粉の形成を妨げる効果がある。パルカットは2016年に農薬登録された。
これまでも飛行ロボット(ドローン)などで試験散布してきた。花粉発生量の抑制に加え、花粉を飛散させるエネルギーが樹木の成長に回り、スギの木材としての価値が向上する効果があるという。
政府は花粉症対策としてスギ人工林を10年後に2割減、花粉発生量を30年後に半減する目標を掲げている。東京農業大の小塩海平教授は「パルカットの実用化が花粉症対策になる」としている。
日刊工業新聞 2023年09月27日