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出荷台数2.6倍、花粉除去する衣服ケア家電「LGスタイラー」の実力

出荷台数2.6倍、花粉除去する衣服ケア家電「LGスタイラー」の実力

衣類や小物に付着した菌や花粉などを減らす「LGスタイラー」

LGエレクトロニクス・ジャパン(東京都中央区、孫成周社長)が展開する、衣類や小物に付いたにおいや花粉などを減らす家電製品「LG Styler(スタイラー)」に注目が集まっている。新型コロナウイルス感染症の拡大で消費者の清潔意識が高まったことを背景に、2022年の出荷台数は17年比約2・6倍に伸びたという。

日本では、ズボンの折り目を維持しつつ除菌するなど多様な機能を搭載した「トータルケアシリーズ」と、使用頻度が高い機能のみを搭載して価格を抑えた「シンプルケアシリーズ」を展開する。スチームが庫内を循環し、衣類をかけたハンガーラックが1分間に最大180回振動することで菌やウイルス、花粉、ダニを減らす。

LGスタイラーは11年に韓国を含めた世界9カ国で発売。17年に日本市場に本格参入した。日本参入に当たり問題視されたのは、製品の大きさ。宇佐美夕佳マーケティング統括責任者は「省スペースが好まれる日本市場には合わないと見込んだ」とし、日本では幅445ミリ×高さ1850ミリ×奥行き585ミリメートルほどの小型モデルを投入した。

発売後も製品の改良を続けている。18年には、姿見鏡がほしいという日本の顧客からの要望に応え、本体の前面に表面加工を施して鏡にした。また、花粉症対策のために、20年には花粉ケアコースをスマートフォンのアプリケーション経由で追加できるようにした。

22年には花粉ケアコースと、スカーフやネクタイといった衣類を対象とする「シルクケアコース」をアプリを経由することなく選べるようにし、利便性を高めた。コロナ禍では除菌や衛生を重視したコースを選ぶ人が多かったというが、外出機会が増える中でシワやにおいを軽減するリフレッシュコースを好んで利用する人が増えたようだ。

マーケティングにも力を注ぐ。LGスタイラーはもともと家庭的な印象を持たれる製品だというが、顧客層を広げる観点で、日本では対象年齢を絞らずファッションに興味を持つ層に着目。「とんでもなく尖ってみたらどうだろう、と考えた」(宇佐美氏)。路線変更を図ったところ、CTR(露出した広告の中でどれだけクリックされるかの率)が従来の数十倍となった。

除菌対象の拡大も期待される。LGスタイラーが除菌できる製品は衣類や小物などに限られるが、韓国LG電子は靴用の製品を発表しており、日本で展開される可能性もありそうだ。(阿部未沙子)

日刊工業新聞 2023年月4月11日

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