町工場内にカフェ…金子製作所が高卒者15人を採用できた理由
金子製作所(さいたま市岩槻区、金子晴房社長)は2023年度に高卒者15人を採用。全員が女性だった。人手不足が社会問題となる中、独自の採用コンセプトや定着の取り組みが奏功した。「キレイ」「オシャレ」「優しい」の三つを重視した職場づくりが採用の追い風になった。
金子製作所は光学機器や医療機器、航空機の部品の切削加工を手がける。内視鏡先端部のステンレス部品の加工など医療分野が売上高の8割を占める。いわき工場(福島県いわき市)を含めた社員は117人。年商は約16億円。経済産業省の地域未来牽引企業にも選定された。
23年4月に入社した女性高卒者は本社が7人、いわき工場は8人だった。「女性を狙って採用したわけではなく、たまたま全員女性が採用できた」と松本周吾経営企画部長は話す。
15年から地元高卒者の採用を始めるがミスマッチで辞めるケースもあり、20年に採用コンセプトを見直した。高校の先生や見学に来た生徒に、どんな会社で何の仕事をしているのかを深く理解してもらうための説明を充実させた。
「金子製作所という社名で切削加工をやっていると、汚い、うるさい、危険というイメージが浮かんでしまう。それを払拭するために『キレイ』で『オシャレ』で先輩たちが『優しい』職場づくりを目指した。それが15人採用できた要因だと思う」(松本部長)と強調する。
18年には本社敷地内に「カロネコカフェ」と呼ぶ建物を建てた。2階が社員食堂で1階がカフェスペースで従業員がくつろげる。いわき工場では21年に第2工場が完成したのを機に工場内を土足厳禁にした。
採用した社員の定着に向けた取り組みも積極的に進めている。社外産業カウンセラーによる面談などに加え、高校の先生や家族と会社の三位一体でコミュニケーションを取りながら新卒社員をフォローしている。
「23年いわき工場に見学に来た高校生は女性の方が多かった。24年は同工場の女性比率が5割を超えるかも。若い人に活躍してもらうことで会社を活性化させていたい」(同)と意気込む。(さいたま)