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欧州の規制に対応、日本ガイシがガソリン・パティキュレート・フィルターを高機能に

欧州の規制に対応、日本ガイシがガソリン・パティキュレート・フィルターを高機能に

日本ガイシのPM除去装置「表面捕集層付ガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)」

【名古屋】日本ガイシは2025年以降に欧州で販売するガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)の5割程度が表面捕集層(MT)付きの高機能品に切り替わる見通しを明らかにした。GPFはガソリン乗用車の排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を除去する装置。MT付ではPMの捕集性能は最大20%高まる。25年にも導入される予定の「ユーロ7」を契機に、同社にとって主力市場の欧州で、MT付きGPFを拡販する。

GPFは直噴ガソリン車が排出するPMを除去できるセラミックス製のフィルター。MTはGPFよりも細かい穴を持つ薄い膜で、GPFに取り付けることでPMを95%以上捕集できる。GPFの性能を高めると燃費を悪化させる圧力損失が増えるが、MTによる性能向上では損失を最小限にできるという。

日本ガイシは21年度にMT付きGPFの量産を始めたが、「ユーロ6d」では既存のGPFで対応する自動車メーカーが大半で、MT付きの比率はわずかという。

ただユーロ7ではPM排出の規制が強化される見通し。欧州連合(EU)欧州委員会が22年11月に発表した規制案では、規制すべき粒子径を直径23ナノメートル(ナノは10億分の1)以上から直径10ナノメートル以上に厳しくする。従来よりも小さい粒子の捕集策が自動車メーカーには求められる。

ガソリン車の環境規制の変化と日本ガイシの対応

日本ガイシはMT付きGPFに加え、エンジン始動後の低い温度の排ガス浄化を実現できる「電気加熱式触媒(EHC)」を量産するほか、ガソリンエンジン車が排出する窒素酸化物(NOx)を常時測定するセンサーを25年に欧州市場に投入する方針だ。

同社にとって欧州は主要市場。自動車向け製品を手がけるエンバイロメント事業のうち、欧州向け売上高は37・9%を占める1216億円(22年度)。

日刊工業新聞 2023年09月19日

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