ストロングHVに照準、日本ガイシが量産する「次世代排ガス浄化装置」の効果
日本ガイシは2025年をめどに次世代型の排ガス浄化装置を量産する。新開発の電気加熱式触媒(EHC)を内蔵。電力で触媒を予熱し、エンジン始動後の低い温度の排ガス浄化を実現する。25年にも欧州で導入される予定の排ガス規制「ユーロ7」で対応が求められるとみられ、内燃機関を搭載するハイブリッド車(HV)向けなどに需要が広がるとみている。
日本ガイシの排ガス浄化装置は「ハニセラム」と呼ぶセラミックス製の担体に触媒を保持させたもの。円筒形のハニセラムの中には無数の穴があり、排ガスが通過すると有害物質は化学反応で無害化される。
浄化用の触媒は300度Cを超えないと活性化せず、エンジン始動後の低い温度の排ガスは浄化が難しい。有害物質の多くはこの時に排出されるため、従来製品では高い温度の排ガスを使って数十秒から数分かけて加熱し、活性化していた。
日本ガイシは今回、ハニセラムの材料に炭化ケイ素(SiC)を使ったEHCを開発。エンジン始動前に電気で加熱し、触媒を活性化させる。50秒で600度Cまで予熱し、低い温度の排ガスが流れても不活化しないようにする。浄化性能が向上すれば触媒に使う貴金属の量を減らせるため、コスト増を抑えられるとみる。
加熱に使う電力はHVやプラグインハイブリッド(PHV)のバッテリーから得る。中でも電気モーターのみで走れるストロングHVに照準を合わせる。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けて電気自動車(EV)が普及するが、内燃機関の進化も続く。日本ガイシは小牧事業所(愛知県小牧市)をEHCの量産拠点とする考えで、排ガス規制強化が進む中国などアジアでも商機を見込む。
日刊工業新聞 2023年06月22日