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東京都市大が「デジタル理工学部」新設へ、全学生の4割DX人材に

東京都市大学は2027年度にも「デジタル理工学部」を新設する。人間中心(ヒューマンセンタード)のデジタル技術の教育・研究を手がけ、定員は200人。既存学部から定員の約2割を新学部に移す。新たに教員を採用して全学の教育の質を高める。既存学部の学生も副専攻などで新学部で学べるようにし、将来は大学院を含めて全学生の4割程度をデジタル変革(DX)人材として社会に送り出す。

構想中のデジタル理工学部は、コンピューターについて学ぶ「情報工学部」と23年度開設の「デザイン・データ科学部」を土台とする。両学部は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、データサイエンス(DS)とビジネスやデザインを掛け合わせるなど、先進的な研究をしている。

教育手法には課題解決型学習(PBL)などのアクティブラーニングを取り込む。製品を中心に置く資本集約型のモノづくりにこだわらず、知識集約型のサービスを重視する。デザイン・データ科学部は全学生にオーストラリアへの留学を課しており、新学部についても同様の制度の導入を検討する。

新学部の定員は人間科学、環境などの学部に加え、理工学部などから振り分けて確保する。1学年の定員1750人を変えずに教員を増やし、全学的に成長分野のDX人材育成に向けた教育を行う。今後、文部科学省へ新学部設置の手続きをする。

日刊工業新聞 2023年08月10日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
18歳人口急減の中での理工系シフトは、どの大学も「文系のうち、受験生の人気が低い学部・学科の定員を減らし、デジタル・グリーンの理工系の新増設で定員を増やす」のが、基本になるだろう。大学トップとしては、既存の文系学部の教員らが納得できる再編にできるどうか、はポイントだ。東京都市大の場合は、「理工系であっても『十年一日の如し』のところには、変わってもらいますよ」と宣言しており、分野に依らず全学の理解を得やすいのではないか、と感じた。

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