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ダイセルが半導体後工程向け開拓、次世代通信対応の配線板材料をサンプル出荷

ダイセルが半導体後工程向け開拓、次世代通信対応の配線板材料をサンプル出荷

開発を行うイノベーション・パークの一部施設

ダイセルは次世代通信技術に対応した高周波プリント配線板向け新材料のサンプル出荷を開始した。熱硬化性の低誘電材料「次世代超低誘電損失樹脂」で、ポスト第5世代通信(5G)や6G向け基地局、ルーターなどで採用を見込む。国内外の銅張積層板メーカーやビルドアップフィルムメーカー向けに提案。顧客からの評価で改善を重ねながらスケールアップや量産化技術につなげる。2027年の量産を目指す。

2種類の製品のサンプル出荷を7月から始めた。次世代超低誘電損失樹脂は銅張積層板用のガラスクロスに含浸する溶液の一つとして使用される主要な材料。電気エネルギー損失の度合いを表す誘電正接は0・001以下と熱硬化樹脂としてはトップレベルの誘電特性だという。難燃特性も米国の「UL94規格」で高グレードの「V―0」相当。ビルドアップフィルムにも使用可能とし、提案を進めている。

新材料はイノベーション・パーク(兵庫県姫路市)で開発。もともとダイセルの半導体関連向け材料はレジスト用溶媒や洗浄工程など前工程向けがメーン。ただポスト5Gなど膨大な情報を低遅延で高速に伝達するためには、半導体でも実装や後工程での重要度が増している。そのため同社でも材料事業を実装や後工程にも広げるため開発に力を入れる。

次世代超低誘電損失樹脂は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業に採択され、大阪大学早稲田大学と共同研究を行う。後工程向けの開発も阪大や北海道科学大学と行っている。


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日刊工業新聞 2023年08月23日

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