ニュースイッチ

速度10倍以上へ、東レエンジが電子顕微鏡を用いた2ナノ半導体検査装置

速度10倍以上へ、東レエンジが電子顕微鏡を用いた2ナノ半導体検査装置

研究開発段階でフォトマスクの調整などに採用されている電子線式半導体ウエハーパターン検査装置「NGR」

東レエンジニアリング(東京都中央区、岩出卓社長)は、電子顕微鏡を用いた半導体検査装置を回路線幅2ナノ―3ナノメートル(ナノは10億分の1)の最先端半導体の生産向けに提案する。現状は研究開発向けに展開しているが、半導体の微細化が進むことで、より精密な検査ニーズが生まれると判断。数年内に現状より10倍以上検査速度を向上した装置の市場投入を目指す。2030年頃に22年度比約48%増の売上高1700億円達成の足がかりとする考え。

東レエンジニアリングでは現在、電子顕微鏡を用いた電子線式半導体ウエハーパターン検査装置「NGR」を製品化し、研究開発段階でフォトマスクの調整などに採用されている。今後これを、生産ラインのウエハーをくまなく検査する全面検査用途で提案する。

これまで生産ライン内で電子顕微鏡を使った全面検査は行われていないが、最先端プロセスで歩留まりを上げるためには従来以上に精密な検査が必要になると想定。生産ラインに組み込まれれば、工場で1台程度にとどまっていた需要が大幅に拡大することも期待できる。

しかし従来品では検査速度が生産ラインに対応できないため、まずは10倍以上に高速化し、検査が必要なパターン形状のすべてを網羅した製品の開発を目指す。それにより半導体メーカーからの新しい検査ニーズを掘り起こす。本格的なラインへの導入には一層の高速化が必要という。岩出社長は「生産ラインの品質管理に使えればビジネスとして非常に大きくなる」と期待を寄せる。

日刊工業新聞 2023年月8月8日

編集部のおすすめ