ボーイングからの受注けん引に…ナブテスコ航空機器が復調
ナブテスコの航空機器事業が復調している。新型コロナウイルス禍で急減した世界の航空需要の回復に伴い、飛行姿勢制御装置(アクチュエーター)の需要が戻っている。主要顧客の米ボーイングの小型機を中心とした回復に連動する形だ。保守ビジネスの新たな収益源開拓もうかがう。(戸村智幸)
「去年水面下から顔を出した感じだ。このまま成長したい」―。高木憲優執行役員航空宇宙カンパニー社長はそう意気込む。
ナブテスコは精密減速機や自動ドアなど多様な産業機器を手がけ、いずれも高いシェアを持つ。航空機器事業のアクチュエーターは多くのボーイング機に搭載され、国産旅客機でのシェアは100%だ。同事業の売上高はコロナ禍前の2019年12月期に228億円あったが、21年12月期には132億円まで急落。だが同期を底に反転し、23年12月期は186億円を見込む。
けん引役はボーイングからの受注だ。22年後半以降、小型機「737MAX」向けを中心に受注が増えており、中型機「787」向けも回復。コロナ禍前の業績水準への回復は見えてきた。3カ年中期経営計画最終の24年12月期には200億円を上回れると見通す。
今後の成長のカギとなるのが修理・整備(MRO)だ。保守ビジネスは安定した収益源だが、コロナ禍では航空機が運航されず、関連売上高は激減した。足元では回復基調だが、本格的な需要拡大はしばらく先と見込む。
関連の新ビジネスモデル創出も狙う。パワーバイザアワー(PBH)と呼ばれる契約形態で、製品を搭載した機体の安定した飛行時間などに応じて料金を決めるメンテナンスサービスだ。
現状は修理などの実施時のみ対価を得るのに対し、PBHは定期的な収入源になる。「航空会社と交渉している」(高木執行役員)状況で、737MAXや大型機「777」向けに採用を目指す。
防衛向けの拡大も成長には不可欠だ。固定翼哨戒機「P1」、輸送機「C2」向けに納入しており、現状も防衛は事業売上高の4―5割ほどを占める。
今後は政府の防衛予算増加を追い風に受注拡大を目指す。特に期待するのが日英伊3カ国による次期戦闘機共同開発への参画だ。高木執行役員は「今後10年の最大のプログラムなので関わらなければならない」と意気込む。受注決定まで長期的なビジネスだが、取り組みを進められるかが問われる。
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