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ダイキンが200億円投資、茨城に空調新工場の狙い

ダイキンが200億円投資、茨城に空調新工場の狙い

新工場完成イメージ

ダイキン工業は2日、空調機の工場を茨城県つくばみらい市に新設すると発表した。2027年度にルームエアコンの生産を始める。総投資額は約200億円。年産能力は組み立て1ラインで約50万台。ダイキンが関東地域に空調工場を設けるのは初めて。事業継続計画(BCP)やサプライチェーン(供給網)の重要性からも関東に拠点を置き、国内生産能力を増強する。

ダイキンは工場用地の取得を決定し、十河政則社長兼最高経営責任者(CEO)が同日、大井川和彦茨城県知事を訪問した。工業団地の「圏央道インターパークつくばみらい」に建設する。工場名は「つくば製作所(仮称)」。敷地面積約9万8000平方メートル。当初は300―400人採用する。長期には1000人に増やし業務用空調機や給湯器の生産も検討する。

最大市場の首都圏に位置し交通の利便性が高いほか、同県は港湾と空港を備えている。近郊を含め人材も豊富と判断し、進出先に選んだ。生産品目の拡充と設備投資を継続的に実施する。関東以北の東北や北海道に近づけるため、寒冷地用のエアコンや給湯機などのスムーズな供給も可能になる。

ダイキンは大阪で創業し、淀川(大阪府摂津市)、堺(堺市)、滋賀(滋賀県草津市)の各製作所が関西に集中している。稼働は生産能力の上限に近く、拡張余地が乏しい。大規模災害に備え、分散するBCPも重要になっている。滋賀製作所の生産の一部をつくば製作所に移し、滋賀製作所では最先端の自動化技術や試験などに取り組めるようにする。日本を引き続き世界のマザー工場と位置づけ、技術力を強める。

サプライチェーン(供給網)の多様化も国内生産には追い風が吹く。十河社長は22年11月の決算会見で、BCPやサプライチェーンなどからも関西以外に空調工場を新設する構想を示していた。国内工場の生産能力と技術力を引き上げ、世界約90カ国の生産拠点を日本からリードする。


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日刊工業新聞 2023年08月03日

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