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「強すぎるリーダーシップに頼り切っていた」…ビッグモーター不正問題、新規出店白紙に

「強すぎるリーダーシップに頼り切っていた」…ビッグモーター不正問題、新規出店白紙に

ビッグモーターによる保険金の不正請求問題は兼重社長が辞任する事態にまで発展した

ビッグモーターによる保険金の不正請求問題は、兼重宏行社長が辞任する事態にまで発展した。同社は20―30カ所での新規出店計画をいったん白紙に戻し、新社長となる和泉伸二専務のもと、顧客の信頼回復に努める方針だ。顧客への丁寧な対応とともに、二度と不正が起きないよう再発防止策の徹底が求められる。

「創業者の兼重宏行のあまりにも強すぎるリーダーシップに頼り切っていた」―。和泉氏は25日の記者会見で、自社の課題についてこう述べた。

ビッグモーターは兼重氏が1976年に創業し、一代で中古車販売会社を代表する企業に育て上げた。カリスマ社長によるトップダウンの経営が急成長をけん引した一方、社内では経営陣に忖度(そんたく)する歪(いびつ)な企業風土が根付き、今回の不正を招いた点は否めない。

さらに「非公開会社のため、外部からさまざまな意見を聞く機会が少なかった」と和泉氏は指摘。従業員6000人、売上高数千億円規模の会社にしては内部統制やコンプライアンス(法令順守)が十分に機能していなかった。今後はこうした問題の解決に向け新体制のもとで不正が起きないような企業風土改革が必要になる。

今回の不正について、中古車販売の関係者からは「いつか起きると思っていた」といった声が聞こえる。修理工程がブラックボックス化しており、実際にどのような手順でどのような修理を行っているのか不透明な整備事業者が少なくない。トレーサビリティー(履歴管理)をしっかり行い、透明性の確保に努めている整備事業者も中にはあるため、いかに修理現場を可視化していくかは業界共通の課題になる。

また今回の問題をめぐり、損害保険会社にも責任はなかったのか検証が必要だ。大手損害保険会社からビッグモーターに出向者を出していたことについて、鈴木俊一金融担当相は同日の会見で「出向者がどんな役割を果たしていたのか。ビッグモーターと各損害保険会社との関係についてしっかりと事実確認を行う」と発言。「保険契約者保護に欠ける問題が認められる場合には、法令に基づいて厳正に対処する」と述べた。

大手損保はドライブレコーダーの映像から交通事故の状況を把握し保険金の支払いに役立てている。映像などを活用して故意に車体を傷つける不正行為を見抜けなかったのか。業界の相場に比べ、ビッグモーターの修理代が割高だと察知できなかったのか。今後、全容解明が求められる。

日刊工業新聞 2023年07月26日

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