トラック販売は回復基調も、日野自「不正行為の影響は依然残る」
トラック業界関係者がまとめた2023年上期(1―6月)の普通トラック(積載量4トン以上の大型と中型トラック)の販売台数は、前年同期比8・2%増の3万1417台となり、暦年の上期として4年ぶりに前年実績を上回った。新型コロナウイルス感染症拡大による販売減や、半導体をはじめとする部品不足による生産制約などから回復基調に移る。ただ、業界関係者は「コロナ禍前の水準に比べて足元の数字は決して大きくない」とみる。
企業別ではいすゞ自動車が前年同期比38・2%増、三菱ふそうトラック・バスが同37・6%増と大幅増加。一方で日野自動車は22年3月に発覚したエンジン認証不正問題が響き、同34・9%減と大きく落とした。特に大型トラックでの落ち込みが激しく、同49・6%減と半減した。
日野自は型式指定の取消処分を受けた「A09Cエンジン」搭載の大型トラック「日野プロフィア」の出荷を2月に再開。これにより6月単月の大型トラック販売台数では前年同月比60・1%増まで盛り返した。しかし大型、中型エンジンで一部認証再取得の時期が未定の機種があり「前年比で多少のプラスに働くが、不正行為の影響は依然残る」(日野自)と見通す。
普通トラック全体の6月単月の販売台数は同42・1%増で4カ月連続のプラスだったが、単月の数字としては大きくない。
5月末には日野自と三菱ふそうが24年末に経営統合を目指すと発表した。「国内トラック市場が成熟する中でメーカーが多過ぎた。日野自と三菱ふそう、いすゞとUDトラックスの2連合で良い方向に行ってほしい」(いすゞ株主)との声も挙がる。
日刊工業新聞 2023年07月06日