「先端技術と企業ガバナンス」で教育講座、東大子会社が企業向け開発
東京大学の完全子会社、東京大学エクステンション(東京都千代田区、山本貴史社長)は、コンサルティング会社と、「先端技術と企業ガバナンス」に関する教育講座の開発を始めた。新たな企業向け講座に導入する。第1弾は生成人工知能(AI)で、ビジネス活用時に発生する著作権や情報セキュリティーなどの課題を扱う。今後、メタバース(仮想空間)や自動運転車など、進展が速い科学技術をテーマとして取り上げる予定だ。映像配信も検討する。
同社が実施した生成AIの公開セミナーは3回で計1000人超が聴講し、ニーズが高いと判断した。生成AI「チャットGPT」のビジネス活用では、経営陣や管理職も適切な対応が求められる。グループ全体のガバナンスにまで目配りが必要だ。
講座の対象は順次広げる。自動運転車の事故においては、法律や保険など大学の専門知に基づくルールづくりや管理が社会的な課題となっている。メタバースでは仮想空間での権利確保や犯罪対策などが懸念されている。
同社は循環型経済や健康経営などの企業向け講座を東大と共同で手がける。東大の研究者を訪問する動画コンテンツ「アスラボ」も配信している。社会人のリテラシー向上に役立てるのが狙いで、メーカーや通信会社などが利用する。新講座と連動した動画配信を活用することも検討する。
日刊工業新聞 2023年07月17日