筑波大が150億円投じる「産学連携大型拠点」の中身
筑波大学は29日、産学連携の大型拠点を2027年に開設すると発表した。つくばエクスプレスのつくば駅(茨城県つくば市)近くにある職員宿舎の跡地に建てる。飛行ロボット(ドローン)や自動運転車などの概念実証(PoC)に使う床面積7000平方メートルのスペースと、企業20社程度が入る延べ床面積1万4000平方メートルの施設を整備。22年発行の大学債で調達した200億円のうち150億円強を充て、賃料と共同研究費で償還する。強みである学際融合を生かし、社会課題解決に取り組む。
筑波大は同大の研究力を企業が活用し、実証実験を経て社会実装につなげる「イマジン・ザ・フューチャー・フォーラム」(ITF.F)事業を開始した。産学連携拠点の新設は同事業の一環。職員宿舎が建つ敷地面積3万3000平方メートルを更地にし、25年に着工する。
幅100×長さ70×高さ22メートルのPoCスペースを設ける。同スペースでは10トントラックの搬出入や、重量のある実験機材設置ができる。eスポーツ大会やバーチャル国際会議など、先進技術を活用した実証イベントも想定する。つくば市は内閣府からスーパーシティ構想の指定を受けており、特区ならではの企画が期待される。
連携企業は筑波大が周辺に設ける研究棟「研究スロット」に、ニーズドリブン型の「ビジネス・ツー・アカデミア(B2A)研究所」を置く。人工知能(AI)やスポーツ、半導体や小売り、金融などの分野の、上場企業を含む10社がすでに入居を決めた。同大の多様な資源を活用し、イノベーティブな事業の創出を目指す。
大学債は国立大が研究施設・設備の独自整備などを目的に発行する。同大の発行は東京大学、大阪大学に次ぐ。産学連携による収益確保を目指す大型投資事業となる。銀行からの借入金も組み合わせる。