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住友商事が始める「水素でアルミ精製」実証事業の全容

英資源大手リオティントと共同
住友商事が始める「水素でアルミ精製」実証事業の全容

水素活用を図るヤーワン・アルミナ精製工場(クイーンズランド州、リオティント提供)

住友商事は、英資源大手リオティントと共同で水素を使ったアルミニウム原料精製の実証事業を始める。リオティントの豪州の精製工場で燃料の天然ガスを水素で代替し、二酸化炭素(CO2)の排出削減を図る。実証事業の総額は1億1100万豪ドル(約104億円)。住友商事が2024年に同工場で水素製造プラントの建設を開始し、25年までにバーナーに水素を供給する。事業を商用化した上で、将来は豪州域外への水素輸出も目指す。

住友商事とリオティントは21年に、豪州でアルミの原料となるアルミナの精製工程への水素活用を目指すパートナーシップを締結。リオティントのヤーワン・アルミナ精製工場(クイーンズランド州)での水素の製造と活用に向けた実証事業を検討してきた。

同実証事業は住友商事が最終投資決定を行った最初の水素製造・供給プロジェクトで、同社が2500キロワットの水素製造プラントを建設する。アルミナ精製工程の燃料に使っている天然ガスの代替として、水素燃料電池自動車2500台の年間使用量に相当する年間約250トンの水素の製造・供給を計画する。豪再生可能エネルギー庁(ARENA)から3200万豪ドル(約30億円)の補助金も受ける予定。

水素製造には、カーボンクレジット(炭素排出枠)の購入によってCO2排出量を相殺した電源を使う。アルミナ精製工程における商用規模での水素活用を目指す。

輸送技術が確立されていない水素の地産地消型事業を商用化した上で、将来は豪州域外への水素輸出など多角的に水素関連事業の開発に取り組む。

日刊工業新聞 2023年07月13日

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