小型なのに高出力、京都先端科学大が「薄型低次超音波モーター」開発
京都先端科学大学ナガモリアクチュエータ研究所の出原俊介助教と藤谷月帆学部生らは、低次駆動の薄型超音波モーターを開発した。圧電素子製のステーター(固定子)が振動し、その摩擦でローターを回す。ステーターのサイズが4・5ミリ×4・5ミリ×0・7ミリメートルと小型ながら、22・7マイクロニュートンメートル(マイクロは100万分の1)の力を出せる。ミラーを回転させてカメラの撮影方向を変えるといった用途で精密機器向けに提案していく。
超音波モーターは圧電素子がねじれるように振動して、上に載せたローターを回す。今回、二つの曲げ振動を合成した2次振動モードで回転運動を発生させた。ステーターに4枚の電極を貼り付け、180キロヘルツで電圧をかける。すると2種類の振動の波が混ざって進行波を作る。進行波が摩擦でローターに伝わり対象が回転する。
従来は6次の振動モードが使われていた。次数を減らせると制御回路がシンプルになる。実験では、回転数が1分間で74・7回転、トルクは22・7マイクロニュートンメートルだった。センサーやミラーなどの小型部品を回転させられる。
ステーターは4・5ミリメートル四方の正方形に3ミリメートルの丸い穴を空けた形状。単純で製造しやすい。この上に接触部がすり鉢状になったローターを載せる。磁石でローターをステーターに引きつけて接触力を調整する。
超音波モーターは機構がシンプルで小型化できるため、通常のモーターに比べて体積当たりのトルクが大きい。大きさが制限される内視鏡の先端などに組み込みやすい。
日刊工業新聞 2023年07月05日