世界最高レベルの出力、IHIが開発した「電動ターボコンプレッサー」がすごい
IHIは世界最高レベルの出力の電動ターボコンプレッサーを開発した。独自開発の空気浮上式ガス軸受電動モーターを搭載し、従来比3・5倍の出力100キロワットを実現した。軽量・小型化も果たした。小型航空機の水素燃料電池推進システムなどへの活用を見込む。空気の薄い上空でも大量の圧縮空気を供給でき、燃料電池推進システムによる飛行の実現につながる。
電動ターボコンプレッサーは燃料電池に水素と反応させる圧縮空気を供給する役割がある。小型で大量の圧縮空気を供給できることに加え、燃料電池から排出される水蒸気を動力に活用することで高出力を得られる。
飛行のほか、機内で使用する電力用に燃料電池発電システムとして機能させ、脱炭素化への貢献を見込む。
燃料電池システム以外への応用では、飛行中の薄い外気を圧縮して客室空調へ供給し、客室の圧縮空気からエネルギーを回収する役割が期待される。
今後は航空機の電動化に向け、電動推進システムや機内の発電システムの水素転換を開発し、2030年代の実用化を目指す。
日刊工業新聞 2023年06月19日