三菱電機・三菱重工が発電機事業統合、出資会社を設立
三菱電機と三菱重工業は29日、両社の発電機事業統合について同日付で正式に契約を締結したと発表した。2024年4月に統合出資会社を設立する。出資比率は三菱電機51%、三菱重工49%を予定する。火力や原子力、水力発電機の設計・製造や品質管理、保守点検などを統合し、収益性を高めて市場競争力を強化する。
22年12月に統合へ向けた基本合意を結んでいた。三菱電機が統合会社の前身となる準備会社を今後設立。吸収分割方式で統合し、23年12月末目標に吸収分割契約を結ぶ計画だ。資本金などは未定。統合会社の売上高は数百億円になる可能性がある。
同日、オンラインで開催された全社経営戦略説明会で三菱電機の漆間啓社長は、「これまでの取り組みを大きく変えたいと思っている。(両社は)発電機などプラント事業を手がけており、連携して脱炭素を志向しながら事業を継続強化したい」と統合の狙いを説明した。また、関連する三菱電機の人員は「基本的に統合会社に移って事業を強化する」としている。
新興国の電力需要の高まりやエネルギー安全保障の流れを受け、世界的に液化天然ガス(LNG)火力発電所や原子力発電所の新増設のほか、再生可能エネルギーの供給拡大に伴う電力系統の安定化でも大型発電機の活用が見込まれる。統合により両社の技術・資産を結集し、市場競争力を強化し、グローバル市場で勝ち残っていく。
三菱重工としては、主力製品で世界シェア1位のガスタービンの拡販に向け、ガスタービンと直結する発電機の競争力強化が主な狙いとなる。自社で発電機を持つものの、元々三菱電機の発電機を主に採用しており、統合会社に一本化する。
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日刊工業新聞 2023年月5月30日