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科学のオープン化、研究のセキュリティー…G7科技相会合が世界に示した姿勢

科学のオープン化、研究のセキュリティー…G7科技相会合が世界に示した姿勢

G7科技相会合(中央が高市担当相)

先進7カ国(G7)科学技術相会合は、科学のオープン化と研究のセキュリティー強化を推進する姿勢を世界に示す機会となった。オープン化では多国間データ共有の必要性を表明し、セキュリティーでは各国のベストプラクティスの共有を進める。オープン化で研究を活性化しつつ守るべき内容は守るとの考えだ。それぞれG7で協調して具体化し、世界に発信していく。(小寺貴之)

「論文やデータはグローバルに共有するべき資産。科学技術イノベーションの源泉だ」と内閣府の高市早苗科学技術担当相は説明する。

同会合では多国間データ共有の必要性や論文やデータの即時オープン化を支援することが表明された。

日本では2025年度の新規公募分からの即時オープン化に向けた政策の検討が進んでいる。出版論文の一歩手前の著者最終稿を大学の機関リポジトリを通して公開する方法を想定する。同時に各国の研究データインフラを相互運用可能にしていく方針だ。コロナ禍でのワクチン開発はオープンデータによって加速された。成功例を広げ、世界が広く恩恵を受けられる仕組みを整えていく。

研究セキュリティーに関してはベストプラクティスをまとめた論文が今春中に発行される。世界の政府や研究資金配分機関、研究機関、研究者の指針になる。画一的なルール策定よりも、現場で機能する事例を積み上げる。そして国際的な議論を続け、各国でのロードマップ策定を奨励した。

高市担当相は「G7各国は安全保障と経済を横断する問題にどう対応するかという課題に直面している」と説明する。ロシアのウクライナ侵攻を機に、研究成果が地政学や軍事上の目的で不正利用されるリスクが顕在化している。このリスクに直面しているのはG7だけではない。G7としての姿勢を世界に見せ、科学技術を地球規模の課題解決や経済発展につなげていく。

地球規模課題としては気候変動という文言は残ったものの、脱炭素に関する記述は大幅に減った。代わりに宇宙デブリ(ゴミ)対策や気候変動対策のための極域観測の重要性が記載された。日本の提案が通った形だ。それぞれ国プロが動いているため、国際共同研究として発展していくことが期待される。

日刊工業新聞 2023年05月16日
小寺貴之
小寺貴之 Kodera Takayuki 編集局科学技術部 記者
スペースデブリは高市大臣の肝いりで入りました。北極観測向けの砕氷船は船体の建造に335億円を付けたものの、船に載せる研究設備などの予算はまた必要なので、こんな形になっているのだろうと思います。IPCCに2025年までに温室効果ガス排出量をピークアウトさせねばばらんと言われた年に、CO2削減よりも砕氷船を推すのかと思います。英文と訳文を比較すると、訳文に北極域研究船を入れるために相当考え抜かれた文章だなと感じました。この熱意や努力、才能はもっと違った使い方が可能なのではないか、それができたらG7の中での日本の地位はもっと上がるのではないか、日本の世界への貢献が見える化されるのではないか、などとG7札幌で石炭火力の延命がクローズアップされた中で考えてしまいました。概算要求はがんばってもらいたいです。

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