コロナ禍でEC特需も…脱毛サロン経営会社を破綻に追い込んだ3つの要因
脱毛サロン経営のセドナエンタープライズは、2022年8月26日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。「全身脱毛革命サロン・脱毛ラボ」の運営を中心に、家庭用脱毛器や化粧品などの販売も手がけ、19年7月期には営業収入約76億2500万円を計上した。
20年から新型コロナウイルスの感染拡大が本格化し、緊急事態宣言の発出による営業自粛がさまざまな業界で行われる中、同社も全店休業を実施。その後も休業や時短営業などを繰り返し、サロン事業は大きな痛手を負った一方で電子商取引(EC)事業は大きく伸長。19年7月期に約10億円だったEC事業の売上高は、翌20年12月期(決算期変更)には約60億円に伸び、その増加はサロン事業の減少分を大きく上回り、同期の営業収入は約115億4900万円となっていた。
だが、同社は従前より債務超過状態だったことが課題で、EC事業が好調だったコロナ禍においては、売り上げ増加に連動して広告宣伝・促進費が増加。元々、販管費率が高い業界とはいえ同社は極めて高い水準となっていた。加えて、サロンの解約者増加、新規契約の大幅な落ち込みにより急速に現預金が減少。その後も解約が相次いだことでさらに資金繰りが悪化、自己破産を申請するに至った。
今回破綻に至った要因は大きく三つ。一つは売り上げ確保のため過剰な値引きや広告露出をしていたこと。二つ目は、コロナ禍でEC事業が特需にある中、戦略的であったとはいえ、収益を度外視したプロモーションを展開したこと。EC事業の特需後、売り上げの伸びが鈍化する一方で販管費が急増、結果的に資金繰りが悪化することとなった。そして三つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大。EC特需があったとはいえ、破綻に至った最後の要因はやはり資金不足だ。外出自粛などを要因とした解約が後を絶たず、返金に対応したことで破綻は決定的となった。(帝国データバンク情報統括部)