急成長の裏で粉飾決算…3PL事業者が倒産した必然
3PL事業を手がけていたグッドビリーヴが2022年8月に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。かねて株式公開の意向を公言し、売上高は100億円を突破。急成長を遂げていたかに見えたが、粉飾決算に手を染めていたことが発覚して信用は失墜。私的整理による事業再生を試みたが、金融機関との合意が形成できず倒産に至った。
倒産する企業にはいくつかの兆候が見られることが多い。グッドビリーヴの場合、18年にメーンバンクが交代したことが大きな転機となった。経歴に傷を負った経営者の再出発を支えてきたメーンバンクが突如として交代したのだ。事業拡大が続き株式公開を視野に入れた企業のメーンバンクという立場をあっさり手放すという異常事態である。
しかし、メガバンクからメガバンクへの交代であったことや、金融機関の貸出競争が激化していたことから多くの金融機関が取引継続を選択し、新たに取引を開始する金融機関まで現れた。「正常性バイアス」が働いたと言っていいだろう。この後、不自然な資金調達をいぶかる金融機関が現れ、粉飾決算への発覚へとつながっていった。
私的整理では、再生計画などについて特定債権者と合意しなければならない。グッドビリーヴも取引金融機関に返済のリスケジュールを要請したが、最後まで再生計画への合意が得られなかった。
粉飾決算などコンプライアンスの問題がネックになったのは言うまでもないが、一方で、そうした事実を知るはずもない債権者の多くが取引を解消し、再生計画と実績の乖離が広がった点は見過ごせない。
取引解消が加速した背景には、会社から利害関係者への情報開示が途絶えた点がある。今後、過剰債務を抱えた企業が私的整理により事業再生を目指すケースが増加すると見込まれるが、極端な情報開示の忌避は、再生とは反対の道に進むリスクがあることを覚えておきたい。(帝国データバンク情報部)