日本郵船・商船三井・川崎汽船…海運大手3社は2期連続で最高益
海運大手3社の2023年3月期連結決算が9日までに出そろい、3社とも前期に続き2期連続で当期利益が過去最高を更新した。コロナ禍の物流混乱で高騰していたコンテナ船事業の運賃市況が22年夏頃から悪化を始めたが、年間を通した同事業の利益減少は想定より小幅に留まり、他事業の伸びがカバーして前期を上回った。
最大手の日本郵船が9日発表した23年3月期連結決算は、各利益段階で前期に続き過去最高を更新した。コンテナ船事業の持分法適用会社の業績は悪化したが、持分法利益の取り込み段階の為替影響により、同社のコンテナ船を含む定期船事業は前期比増益だった。不定期専用船事業の自動車輸送、ドライバルク、エネルギーの3事業もいずれも増益。同社は2月に通期業績予想を下方修正したが、上振れて着地した。
商船三井と川崎汽船はコンテナ船事業が減益となるも、エネルギーや自動車船事業が堅調に推移して経常、当期増益となった。
24年3月期業績のカギは、3社が共同出資するコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」の動向だ。ONEは24年3月期業績見通しの公表を見送った。出資3社はコンテナ船事業は大幅減益ながら一定の利益を確保できると見込み、同事業の利益をそれぞれ経常利益の25―40%弱折り込んでいる。夏場から消費財の在庫調整が一巡し、荷動きが改善すると予想する。
バブル状態だったコンテナ船利益が巡航速度へ向かう中、各社はほかの事業の収益向上を進める。日本郵船の山本敬志執行役員は「コンテナ船以外の事業はコロナ禍前を上回る」と説明した。
日刊工業新聞 2023年05月10日