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営業時間外でも処方箋受け取れる…ロボットが活躍する薬局の姿

営業時間外でも処方箋受け取れる…ロボットが活躍する薬局の姿

地下鉄博多駅の改札前にある薬局では営業時間外でも処方薬が受け取れる。受付の横ではロボットが稼働する様子が見られる

調剤薬局で患者を待たせず、服薬指導などコミュニケーションの時間をいかに確保するか―。福岡県を中心に調剤薬局やドラッグストアを展開する新生堂薬局(福岡市南区、水田怜社長)は、ロボットを活用することでその実現を目指している。福岡市地下鉄の博多駅改札前にある薬局では、営業時間外でも処方薬が受け取れるシステムとロボットが連携するなど、新たな薬局の姿をみせている。(西部・関広樹)

新生堂薬局はデジタル変革(DX)への取り組みに積極的だ。顧客情報に基づき、一人ひとりに適した一般用医薬品(OTC)を提案できるプラットフォーム(基盤)や電子マネー、スマートフォンアプリケーションなどを先進的に導入した。ロボット導入の背景には「コミュニケーションの時間をしっかり取りたいという考えがある」(同社)という。

調剤薬局のロボットは、薬を入庫時に棚に並べ必要時に取り出す。人が調剤室を移動して薬を探す時間をなくした。棚の清掃も自動だ。2019年にハッピー薬局稲築病院前店(福岡県嘉麻市)に採用以来、4店で稼働する。うち3店では開局に合わせて導入。稲築病院前店と篠栗病院前店(同篠栗町)は病院敷地内にあり、対応する処方箋数が特に多く、ロボット導入効果が大きいと見込んだ。

先行実績を踏まえて22年に既存店である大津店(熊本県大津町)に導入。平均待ち時間を20分程度から10分程度に短縮した。

同社では薬の取り違えを防ぐため、ロボット導入以前からバーコードによるチェックシステムを運用してきた。ロボット導入後も同システムを生かし、計数ミスを含めてチェックを多重化した。

地下鉄博多駅の改札前にある新生堂薬局。商品を選べるデジタルサイネージが、店内に入ってすぐの場所に並ぶ

薬の期限管理の省力化にもつながった。従来は薬のパッケージに期限を示すシールを貼り、人手で確認していた。システムの導入で数年間動きがないような薬のチェックもしやすくなった。

店ごとの薬の動きのデータは人工知能(AI)が分析し、作業効率がより高くなるように棚に配置。棚から取り出す時間を秒単位で縮める改善も続けている。

地下鉄博多駅の筑紫口改札前では、2次元コード「QRコード」により営業時間外でも処方薬が受け取れるシステムと、デジタルサイネージ(電子看板)に触れてOTCを選んで買えるシステムがロボットと連携する。

通常より棚を高くできるなどロボットのメリットを生かし、薬局としては比較的狭いスペースを有効活用できた。改札前店では処方箋を営業時間外でも受付ポストに出せる。服薬指導を事前に受ければ時間外に処方薬を受け取ることも可能。オンライン服薬指導やクレジットカードでの事前決済にも対応する。

地下鉄博多駅はJR博多駅や福岡空港からの出張者、旅行者の利用も多い。改札前店が受け付ける処方箋の発行地域は調剤薬局では珍しく広範囲。同社では今後「電子処方箋やオンライン服薬指導が広がれば、さらに利用者が増えるのではないか」とみている。

日刊工業新聞 2023年03月21日

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