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生産現場・農作物の選果場…多様な設備設計手がけるMECS、提案するロボットの特徴

生産現場・農作物の選果場…多様な設備設計手がけるMECS、提案するロボットの特徴

新工場にはテスト用ロボットが並ぶ

MECS(メックス、佐賀県みやき町、森博幸社長)は生産現場や農作物の選果場など、さまざまな分野で設備の設計開発を手がける。自動化機器だけでなく、ロボットによるピッキングシステムなども提案する。日本ロボット工業会の補助事業を活用し、多関節ロボットやパラレルリンクロボットを自社に導入。用途に応じた作業を試す環境を整えた。2022年9月には新工場を建設し、一層の事業拡大に挑んでいる。(九州中央・片山亮輔)

MECSが対象とする分野は幅広く、設備は包装資材や文房具の生産現場でも使われている。受注のきっかけは紹介や口コミ、既存顧客のリピートが多い。これまでに合計20台ほどのロボットシステムを提供した。森社長は「普通の搬送設備では対応できないような環境での開発も多い」と自社の特徴を説明する。

同社は18年、日本ロボット工業会の補助事業を利用し、6軸多関節ロボットとパラレルリンクロボットを導入した。実機を使うことで、ロボットになじみのない人にも性能を実感してもらえるようになった。

ピッキングに使うハンドのテストにも対応する。設備導入を検討する企業や団体がロボットを使ったことがなく、導入に対する要望が漠然としている場合も多い。つかむ対象は野菜や小型部品などさまざま。そのためハンドを試作して使ってみることでロボットに代替可能な作業か調べ、ユーザーが納得した上で提供している。

導入前のシミュレーションもロボットを使ったリアルな空間で実施することで、具体的な課題を発見しやすくなった。開発や製作にかかるトータルコストの削減にもつながる。かつてピッキング専用機を顧客ごとに作っていたときは、使用条件が変わるとそれに合わせ機械ごと作り替えなければならなかった。

ロボットを使えば環境が変わってもプログラムを書き換えるだけで対応できる。コスト削減で生み出した収益は新たなロボットの導入など会社の成長に向けた投資に充てる。

ロボット導入で自社の新入社員に対するロボット教育の充実にもつながった。森社長は「導入して良かったと思う場面が多い」と笑みを浮かべる。

AGVの製作のためフライス盤を導入した

22年には事業再構築補助金を活用して本社の敷地内に新工場を建設した。ロボットを設置したテスト棟としての位置付けだ。自社製の無人搬送機(AGV)と協調ロボットを使う搬送システムの提案を目指す。AGVは100キログラムの可搬量から製作する考え。最終的には1トンまで搬送できる仕様を目指す。

森社長は「生産システムの開発と違い、原価や納期が分かるため、新たな事業の柱となる」と期待する。商品としてパッケージ化するため、設計にかかる手間も省けると見込む。

自社製品の開発にも力を入れる。足元では工作機械の部品取り換えシステムを手がけており、既に油圧フィルターメーカーから受注を獲得。今後も研究開発に力を入れていく方針だ。

日刊工業新聞 2023年03月28日

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