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表面処理で強度確保、チタン合金使った医療用ドリルの性能

表面処理で強度確保、チタン合金使った医療用ドリルの性能

オー・ケー・シーが大阪産業技術研究所と共同開発したチタン製医療工具

オー・ケー・シー(名古屋市中川区、大河内昌彦社長)は、医療用工具で母材にもチタン合金を使用した高硬度チタンドリルビット「エキューマ・ティーアイ」を19日に発売する。チタンは生体適合性は高いが、強度に課題があった。新製品は表面処理によりステンレスと同等の強度を確保した。母材がチタン合金のため、施術中に破損した場合などでのリスクを軽減できる。

チタンは人体への悪影響が少ないが、ドリル工具として使用するには強度に課題があり医療用工具としての使用が進んでいなかった。オー・ケー・シーが大阪産業技術研究所(大阪府和泉市)と共同開発した特殊な熱処理で、ステンレス製工具と同等の耐摩耗性を実現。母材からチタン合金製であるため、アレルギー反応などに対するリスク軽減のほか、錆びにくく軽い特性も持つ。表面処理で硬化させているのは先端のみで、シャンク部分はチタンの特長である超弾性を持ち折損しづらい。

また、ステンレス製医療用先端付きドリルビット「エミューマ・スタブ」も同時に発売する。先端に針形状を設け、位置ズレを防止する。

同社は自動車や航空機業界などへの切削工具の再研磨とオーダー品製造が主力。2014年にステンレス製の医療用工具に参入したが、依然として自動車業界向けが売上高の約9割を占める。新製品の投入により、5年後の28年2月期には売上高に占める医療向け比率を全体の3割に高めることを目指す。

日刊工業新聞 2023年04月19日

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