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家庭の洗濯進化にテレワークが常態化、老舗クリーニング店「倒産の必然」

伊勢津ドライにみるクリーニング業界の苦境
家庭の洗濯進化にテレワークが常態化、老舗クリーニング店「倒産の必然」

写真はイメージ

洗濯機や洗剤の機能向上に伴う家庭用洗濯が進化や、ファストファッションの台頭による衣類の低価格で、クリーニング店は1998年以降をピークに減少を続けている。市場縮小が進むなか、昨年来のコロナ禍が追い打ちをかけている。

それを象徴するように、大阪の業歴62年の老舗クリーニング店・伊勢津ドライが3月29日に民事再生法の適用を申請した。同社は高度経済成長期とともに事業を拡大し、2005年には200店近くの店舗を有する関西でも名の知れたクリーニング業者だった。

同社は価格と店舗立地で他社との差別化を図っていた。ワイシャツ1枚100円という低価格を強みに10万人超の会員を獲得。店舗立地は大手地場スーパー内が大半を占め、買い物客を取り込み、10年1月期には売上高で約17億8000万円を計上していた。

しかし、その後はクリーニング市場の縮小とともに苦境を強いられる。16年までなんとか売り上げを維持していたが、以降は減収を余儀なくされ不採算店舗が増加。そのため不採算店を閉鎖するも、閉店費用は重く、加えて配送費用などは上昇し直近6期では毎期営業損失を計上。その損失を保険解約金や固定資産売却益などで補填(ほてん)する状態が続いていた。19年9月には取引銀行に返済猶予を要請し、リストラや定休日導入などによる収益性向上を骨子とした再建計画を打ち出していた。

その再建途上の同社を襲ったのがコロナ禍だ。テレワークが常態化するとビジネス関連品の取り扱いが大幅に減少。また冠婚葬祭減少で礼服などの需要も霧散した。策定した再建計画はわずか半年で有形無実化してしまう。その後も収益悪化に歯止めがかからず、20年度末に民事再生法の道を選んだ。コロナ禍でクリーニング業界はかつてない苦境に立たされている。新たな市場をいかに開拓するか業界全体で課題となっている。

(帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2021年7月15日

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