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本人と直接上下関係がない第三者が評価、東洋アルミニウムが導入した人事制度のユニークさ

東洋アルミニウムは2020年度に始めた「経営プラットフォーム改革プロジェクト(MXプロジェクト)」の一環で、本人と直接上下関係がない「アセッサー」が人事評価に加わる制度を、この7月から導入した。評価の公平性を保ち、従業員の納得度を高める狙い。等級の決定には自己申請が必要となり、「年次で上がる“卒業”方式から、本人が手を挙げる“入学”方式へ」(山本政史常務執行役員)刷新する。

MXプロジェクトの柱は組織改革、ビジョン策定、人事制度改革の三つ。部課を廃して意思決定を早めるなど、経営へ自律的に関われる人材の輩出に取り組んでいる。その集大成とも言えるのが今回のアセッサーを取り入れた人事制度改革だ。

評価対象者が昇級を狙う場合、業務遂行能力やマネジメント能力など、それぞれの等級に定められた基準を踏まえた上で、自己申請が必要となる。

上司との面談後、自己評価を第三者のアセッサーが検証し、必要であれば周囲の関係者にもヒアリングを行う。アセッサーはパネルと呼ばれる上位職の会議にかけ、評価を決めるという仕組みだ。等級の決定や評価理由はアセッサーが対象者に直接伝える。現在は本社や事業所などの約500人が対象となっている。

ユニークなのが「ヒューマン能力」という評価基準だ。昇格を申請するには、周囲との協調性や業務への前向きな姿勢など、基本的な人間性の基準を満たす必要がある。「一人だけ頑張っても、周りのモチベーションを落とすようなことをしていれば認められない」(同)仕組みで、今後全従業員への適用も検討している。

こうした仕組みを取り入れたのは、「経営の成長度合いが鈍化している」ことが背景。東洋アルミはヨーグルトが付着しにくいフタなど独自性の高い高機能素材を提供する一方、国際競争の激化で売上高は伸び悩む。従業員が自らキャリアを選択できる制度の導入で自律的な人材を育成し、競争力を高めたい考えだ。

日刊工業新聞2022年8月16日

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