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「次世代原子炉」実用化へ、三菱重工が示した意欲

事業進捗説明会開催、利益率目標7%は達成へ
「次世代原子炉」実用化へ、三菱重工が示した意欲

泉沢社長(同社公式サイトより)

三菱重工業は、中期経営計画最終年度の2023年度の経営目標である事業利益率7%達成に向けて順調だと明らかにした。事業面では成長領域のエネルギートランジション(移行)で、得意の二酸化炭素(CO2)回収が進展していると強調。革新軽水炉と呼ぶ次世代原子炉の実用化にも意欲を示した。24年度から始まる次期中計の方向性も示した。

同日開いた進捗(しんちょく)説明会で公表した。泉沢清次社長は、「全般に施策は計画通り進み、効果は表れている。23年度はさらに効果を高め、目標の事業利益率7%達成を目指す」とした。22年度の事業利益率は4・9%を予想する。自己資本利益率(ROE)12・0%など他の目標も順調に進展しているとした。22年度のROEは7・7%を予想する。

CO2回収については22年度の事業化調査(FS)の受注(22年12月時点)が年換算で約5300万トンと前年度比でほぼ倍増。米国でインフレ抑制法(IRA)成立で商談が増え、米国が同約3000万トンに達した。

革新軽水炉「SRZ―1200」については「基本設計を8割終えた。30年代半ばの実用化を目指す」と述べた。従来通りの説明にとどめた。

防衛事業は政府の防衛費増額により受注拡大が期待される。「防衛力整備が喫緊の課題。安全安心な社会を支えたい」と意気込んだ。

24年度からの次期中計については、今後具体的に策定するとしつつ、事業利益率は7%以上を目指す方針を示した。売上高目標については「事業規模はこのところ4兆円なので、それを伸ばすのを柱に計画を立てる」との考えを示した。22年度は売上高4兆1000億円を予想する。

日刊工業新聞 2023年04月06日

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