次世代原子炉・防衛事業・MSJ、三菱重工社長が語ったそれぞれの展望
三菱重工業の泉沢清次社長は19日、都内で日刊工業新聞などの取材に応じ、革新軽水炉と呼ぶ次世代原子炉について、「三菱が手がけるプラントなら安心安全と思ってもらえるように技術を磨く」と述べ、安全性重視を強調した。政府の防衛費増額決定については「予見性や事業の継続性が高まる」と自社の防衛事業に追い風になるとの見方を示した。
政府の原子力発電所の政策転換を受け、三菱重工は加圧水型軽水炉(PWR)をベースにした革新軽水炉の2030年代半ばの実用化を目指す。開発は8割ほど完了したという。
泉沢社長は「細かい数値は言えないが経済合理性はある」と事業性があるとした上で、「今までの知見を生かして安全性を高める」と意気込んだ。革新軽水炉では炉心溶融時の格納容器防護のコアキャッチャーなどの安全対策機能を盛り込む。
防衛費増について、「防衛予算が増えた分だけ防衛事業が拡大するわけではない」と前置きしつつ、「我々としては民間への利用を含め、防衛事業にしっかり取り組む」と方針を示した。
20年に開発を凍結した小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」については、「持続可能性のある事業か見極めているが、新型コロナウイルス感染症からリージョナルジェット(小型機)市場は回復していない」と述べ、開発再開に慎重な見方を示した。
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日刊工業新聞 2022年12月20日