日立がアステモ株売却、ホンダと出資比率を対等にする狙い
日立製作所は、9月をめどに自動車部品事業の連結子会社日立Astemo(アステモ、茨城県ひたちなか市)の出資比率を引き下げて持分法適用会社とし、共同出資先のホンダなどと協力して、アステモの新規上場(IPO)を目指すと発表した。日立はグループ会社再編によるポートフォリオ改革の総仕上げとなる。アステモの議決権所有割合は日立40%、ホンダ40%、産業革新投資機構(JIC)傘下のファンドが20%となる。
現在のアステモの議決権比率は日立66・6%、ホンダ33・4%。アステモは日立オートモティブシステムズとホンダ系のケーヒン、ショーワ、日信工業の4社が統合した自動車部品メーカー。日立では他の事業と比べて利益率の低さが課題とされており、ポートフォリオ改革の中で、切り離しが進むとみられていた。一連の株式譲渡などの取引によって、JIC傘下のファンドが新たな株主として加わる一方、日立とホンダの出資比率は対等になる。日立とホンダは今後、新規上場を視野に入れ、対等の立場でアステモの成長を支援するとしている。
日立とアステモは9月に予定する株式譲渡などの取引実行日までに、アステモによる日立ブランドの使用など、日立グループとの権利義務を整理し、移行サービス契約を締結する予定。
日立の株式譲渡総額は約1580億円。日立は2024年3月期連結決算で事業再編等利益約940億円をそれぞれ計上する予定。
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日刊工業新聞 2023年03月31日