ニュースイッチ

北米初の小型モジュール原子炉、日立の出資企業が商用契約

日立製作所が出資する米GE日立・ニュークリアエナジー(GEH)は、カナダ・オンタリオ州の州営電力会社オンタリオ発電(OPG)などの3社と、同州ダーリントン原子力発電所に小型モジュール原子炉(SMR)「BWRX―300」を配備するための提携契約を結んだ。北米における電力網規模(グリッドスケール)のSMRとしては初めての商用契約となる。提携期間は6年間で、2028年10―12月期の建設完了を目指す。

全体責任とオペレーターのトレーニング、試運転などを担うOPG、プロジェクト管理や建設を受け持つアイコングループ、設計や建設、調達支援のSNCラバリンのカナダ3社と提携契約を締結した。GEHは原子炉の設計、主要部品の調達などを担当する。

GEHがダーリントン原発に納める「BWRX―300」は出力30万キロワット級の次世代原子炉。小型で建設費を抑えられ、外部電源が喪失しても自然冷却できるため安全性が高いとされる。

同原発は最大4基のSMRを建設する計画で、28年に初号機の完成を目指している。「BWRX―300」はカナダのサスカチュワン州でも30年代半ばの導入を目指すプロジェクトで選定されている。

そのほか、米テネシー州で配備計画と予備的な認可が始まっており、ポーランドでも現地企業が国の原子力機関に事前認可の手続きを開始している。

GEHは「BWRX―300」を世界展開するために米国、ポーランド、英国、スウェーデンなどの企業とも覚え書きやその他の契約を交わしている。


【関連記事】 日立が絶対に売却しない子会社とは?
日刊工業新聞 2023年02月01日

編集部のおすすめ