ニュースイッチ

「事務員が溶接やるってよ」…東京チタニウムの「インスタ」発信が面白い

「事務員が溶接やるってよ」…東京チタニウムの「インスタ」発信が面白い

溶接の技術習得に励むまーちさん

チタン材の魅力・特徴もPR

事務員が溶接やるってよ―。東京チタニウム(さいたま市岩槻区、小沢良太社長)は、事務職の若手社員が溶接に挑戦する様子を会員制交流サイト(SNS)「インスタグラム」で発信している。若者らにチタン材や溶接技術に関心を持ってもらうことが目的。チタン溶接技能者資格のうち、TIG(タングステン不活性ガス)溶接の基本級を年内に取得することを目指す。(さいたま・苦瓜朋子)

溶接に挑戦するのは、営業部営業課に所属し、見積もりや受発注管理などを担当する「まーち」さん(23、本名非公表)。入社まで溶接の経験はなく、ゼロからの挑戦だ。溶接技能者資格を持つ社員の指導を受け、本業の傍らで2022年12月から週5日、1日1時間かけて技術習得に励んでいる。その奮闘ぶりを「まーち溶接日記」と題し、毎週投稿している。

溶接は3K(きつい、汚い、危険)職場の一つとして若者から敬遠される傾向にある。小沢社長は「TIG溶接はアーク溶接に比べて溶接温度が低く、火花が散らない(ため比較的危険が少ない)。女性向きだ」と考えていた。新入社員研修で初めてトーチを握ったまーちさんを見てセンスの良さを感じ、担当に任命。未経験の女性でも努力次第で技術を習得できることを身をもって証明するべく取り組んでいる。

溶接の技術習得に励む様子をインスタグラムで発信している

まーちさんは同僚で動画の撮影や編集、投稿を担当するつなさん、らぶりさんの女性社員3人で「チタン広め隊」としてインスタグラムを中心に活動。同社のアカウントでは溶接技術と同時にチタン材の魅力や特徴も発信している。

投稿を見て同業の社長が助言をくれたり、女子中学生が溶接に興味を示してくれたりといった反響も増えているという。若い女性がひたむきに挑戦する様子を公開することで同年代に親近感を持ってもらい、人材採用につなげたい狙いもある。「まーちのように、事務の仕事をしつつ溶接など現場の仕事もできる人材を増やせたら」と小沢社長は話す。

日刊工業新聞 2023年03月31日

編集部のおすすめ