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トンネル掘削残土の積み込み効率化、大林組が開発した特殊バケットの実力

トンネル掘削残土の積み込み効率化、大林組が開発した特殊バケットの実力

開発したスライドローダーを搭載したホイールローダー

大林組は、山岳トンネル工事の狭い現場に向け、掘削した残土の安全・迅速な積み込みを可能にしたバケットを開発した。排土板を横移動させることで、従来より低い位置で積み込むことができる。このためバケットの容量を拡大でき、積み込み時間を3割程度削減できるという。周辺の換気設備や照明への干渉も回避できるため、運転操作も容易になる。

同社とオノデラ製作所(北海道苫小牧市)で特殊バケット「スライドローダー」として共同開発し、北海道新幹線の立岩トンネル建設工事で効果を確認した。大林組が山岳トンネル工事の安全性・生産性向上を目的に構築する統合システム「OTISM」の一部と位置付けており、今後は繰り返し動作についても検証。ずり出し作業の遠隔化・自動化も視野に入れる。

トンネル掘削で発生する残土は、ホイールローダーで運搬車両に積み込んで搬出するのが一般的。従来はホイールローダーと運搬車両を横に並べ、バケットを傾ける「サイドダンプバケット機構」による積み込みを行っていた。ただこの手法ではバケット上部に十分な可動空間を確保する必要があるほか、換気設備などに干渉しないよう熟練した操作技術が求められていた。

日刊工業新聞 2023年03月17日

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